先日久ぶりに携帯ワンセグのスイッチを入れたところ、戦争孤児だったひとたちの特集をやっていて、ある女性が上野駅の地下道を再訪し、そこで多くの子供達が病死・餓死したことを語るシーンが流れていた。「丁度このあたりで姉妹でぐったりしてました」と、彼女は今も残る地下道の一部を指差していた。

またある男性は、孤児たちを義務教育につかせる行政の計画に、村のひとびとがこぞって反対したことを語っていた。ようやく収容された教室の入り口には「犬小屋」と書かれてあったのだという。

それを観て思い出したのは、何年も前に観た「CBSドキュメント」のなかで、ある男性がナチス強制収容所の経験を冷静に語っている最中、何十年もの間抑圧していた記憶が突然蘇ってしまい、身体を震わせて嗚咽しはじめる光景であった。衰弱がひどく数時間以内に死ぬであろう同胞を――カポーの命令によって――小便甕に突っ込まされたのだという。

地上波TVというやつは、気散じに低俗番組を観たいと思うとそのようなヘヴィーな内容にぶつかるし、真面目なノンフィクション系を観たいと思うとお笑い芸人やらなんやらしかやっていないことが少なくない。

まあでも、そこは長所でもあるのだろう。