分限者になって「食」についても御大尽したい


そういえば、1年に1回くらい佐藤優氏の外務省勤務時代の著作を読み返したくなるのは、彼の回顧譚では決まって食べ物と書籍(or論文)or実のある会話がセットになっている記述と出会えるからだ。

佐藤氏のそれで、なにゆえか「ぷぷっっ」と吹かされるのは、ロシアで緊急事態(エリツィン辞任?)が生起したことを携帯電話で知らされたのが、ちょうど港区赤坂のてんやでビールを飲みながら海鮮かき揚げ天丼を食べていたタイミングだったことを回想している箇所である。几帳面に“海鮮かき揚げ”天丼と記しているのがつくづくと可笑しい……。

キャビアについては佐藤氏の著作の随所に登場するような気もするが、たしか『自壊する帝国』で、モスクワ大学のエリート学生らとどこかの部屋に集まり飲み食いした折、目ん玉どびでるくらい高価なキャビアが皿に山盛りになっていて、それを遠慮なくスプーンですくって喰ったという場面が印象的である。

俺は子供の頃からものを食いながら円谷の怪獣ものとか魚の図鑑とか学研の理科入門シリーズとかを読むことで愉悦を感じる性質だった……(まあ、これはごく一般的なことで皆さんもそうだとは思う。女性がお煎餅をくわえながら雑誌をめくる光景ってベタだしな)。