大島渚のTV出演で最も印象深かったのは、たしか、11PMの後続番組かなんかで、高須クリニック院長、十仁病院院長をゲストに迎え、大島と野坂昭如が二人をガチで罵るという陰湿な趣向のものだった。
「いや先生、来院するひとすべてを整形するわけじゃないですよ、素のままでよいひとは、そのひとのよいところを指摘してあげて、そのまま帰ってもらっているのですよ」と高須院長?が抗弁すると、「あんたたちは人間の屑最低の人間なんだなあ〜〜」と大島が笑わない目で嘲笑した。
十仁病院院長は大島と野坂の露骨な挑発を前にして押黙ってしまった。高須院長はなんとか歩み寄らんとして「先生、知性の象徴であるソクラテスはブ男でも有名じゃないですか!」などと話を振ってみるのだが、「なーにがソクラテスだ、あんたみたいな人間がちゃんちゃらおかしい!」と、大島・野坂から一笑に付されてしまうのだった。

廿年以上昔の吾が國では、顔面整形手術に対する世のひとの拒否感はいまとは比べ物にならないほど強かったのだよなー。それは俺自身も例外ではなかったのだろうけれど、「小山明子のような美人女優を嫁はんにもろた男が、よくもまぁぬけぬけと正論のみかっとばされはりますなー」とあきれ果てた次第でありもうした。