Cancion Mixteca

Nさんはヴィム・ヴェンダースが嫌いで、『パリ、テキサス』についても「えーっ? よくないよあんなもの!」と厳しい。それを承知のうえで、おれはこの甘いシーンを何かの調子に思い起こすことがしばしばあることを白状すると、彼にとっては全くピンとこない様子で、というか「全く思い出せないぜ」とのことだった。「おれはこの作品では、ナスターシャ・キンスキーよりも、オロール・クレマンに惹かれるんですが……」と振りはしたものの予想どおり「あそう」で会話は終了。くやしいので、「このシーンでのライのギターは本当にこのために弾かれた感にあふれていていいのになあ(あなたには分からないだろうなあ)」と当てこすりに独りごちた次第であります。

ちなみにNさんはライの来日コンサートを二度体験していますが、おれは未見であります。なんとはなしにくやしい……。