引用させていただきます。

エルンスト・ユンガー『パリ日記』

パリ、一九四二年六月十四日

 午後、バガデル公園。そこでシャルミエに聞いたこと。先日、黄色い星に「イデアリスト」とか似たようないろいろな碑文を纏いつけて、シェンゼリゼーをデモ行進しようとした学生たちが逮捕されたという。
 彼らは議論の時代がとっくに過ぎ去っていることをまだ知らないのである。それに彼らは敵にユーモアの感覚があることを前提にしている。その意味で彼らは、鮫の泳いでいる海に旗を振りながらなら泳ぎに行けると思っている子供と一緒である。彼らはそうした自分たちを見分けやすくしているだけである。

パリ日記
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