そういえば先月末、ひとまわり年下の従兄弟が結婚式の招待状を持ってやって来た。
漁家の倅なんだけど漁業は殆ど撤退して飲食業でがんばっている。特に地縁・血縁が強い紐帯となっている土地柄ゆえ、他人を雇うということはその人の家族をも預かっていることを常に自覚せざるを得ないようなので、プレッシャーも相当きつそうだけど、本人の表情からはとても充実した人生を歩んでいることが見てとれる。
彼は大学なんて出ていないけど経営者として既に十年のキャリアがあり、英語にも不自由しない。海外の知り合いも多くそのうちの数人はパーティーに駆けつけてくれるのだと云う。式には数百人の友人知己たちが来てくれるらしい。
「いまのような時代は君みたいな生き方がモデルになるみたいだよ」と話すと、「でも俺は高校卒業してから周囲の友達と較べて全然遊べなかったよ。だけど若いうちから始めたからここまでやってこれたのは確かだと思う。30歳すぎてからだったらネをあげてるよ」と云っていた。
おれが中学生だったころまだ可愛い赤ちゃんだった彼がここまで成長しているなんて、なんとなく白日夢のなかにいるような感じでもある……。