不首尾

上記のクールでブリーフリーディングテイストな朗読を耳にして、あらためて仏蘭西語学習への意欲を高められたわけですが、やはり「今更どうして」という諦念にアタマが支配されてをり、自己嫌悪を深めるだけの体たらくのままでゐました。ところが、近所の図書館に山のような仏蘭西語本が無料提供コーナーに陳列されていたのを目にして俄然やる気が湧いてきました。その殆どがフランス革命期についての文献でした。



長考のすえ、フランス革命後の農業報告書と、革命期に於けるロベス・ピエールロベスピエールを巡る諸言説をクリッピングした文献(下段・左下の二冊)を選んでみました。特に農業報告本は頁ヅラおよび仮綴がPナイフで裂かれて出来たらしき小口の襞襞に魅了されました。これらを淡々と音読するのってクールじゃないか! 鞄は一杯なので図書館に備えられていた紙袋に入れて一旦ロビーに出ました。ところがその瞬間、小さな穴があいていたらしい紙袋の底が抜け落ちてしまったのです。びりびりどさっと、まるで漫画の一こまです。
仕様が無いので一番持ち帰えり易かった赤いカバーのコピー製本をいただいて帰りました。カバーには LES SECTIONS DE PARIS, E.MELLIE, Reprinted on Demand by University Microfilms International とあります。1981年のオンディマンド版であり元版は1898年の開板。フランス革命後30年間のパリ街区の記録のようです(巻末に簡易地図有り)。購入者様の領収書が挟まれていて16,000円也となってます。昭和五十年代ではおそろしく高価だったはずです。
「ほーよかったねさぞ勉強も捗っているだろう」と意地悪く突っ込まれたような気がしますが、やっぱり、農業報告書の組版、そして、小口の襞ひだがあってこそのやる気なのです。凡愚は言い訳の才能だけには恵まれています。