今年は一度も神保町へ足を向けていない。少なくともこの十年にはない事態である。なので、去年の記録を残そうかと思う。
2010年6月某日
暑い日だった。
ひぐらしではお店の前に天幕を立てていた。そこでは先生と呼ばれる年配者がひとりパイプ椅子に腰をおろして数名の常連さんに囲まれてゐる状況。この先生が一体何の先生なのかは不明。
いつも店頭にいらっしゃるお兄さんがその日の市で仕入れたものについて先生に色々と意見をもとめていた。彼が「これ、句入りなんですよ。どうですかねー」と一冊の句集を差し出すと、「こりゃ印刷だよ」と一言仰られた。
遠めに覗いてみると版元は琅玕洞で、ほととぎすホトトギス俳人による何かの記念句集であることが分かった。
その後どこを風羅風羅したのか記憶が定かではないが、とても空腹だったのでまんてんでカレーを食した後、さぼおるの斜向かいに開店していたラーメン屋さんでチャーハン(390円)を食べたら値段の割りにとても美味しくて非常に仕合わせな気分で帰宅したのを覚えている。ナルトでもハムでもなく刻みチャーシュであった。
書籍は何も買わずに散歩だけの神保町であった。多分。