じつは、ヴェロで突然隣席女性から話しかけられたことがあった。
なんでも、そのひとが暮らしている借家ではジャパンホラーそのまんまの恐ろしい心霊現象が毎晩生起するので職場の青年に調べてもらったら、知る人ぞ知る有名ワケあり物件であることが判明したので、こりゃすぐにでも引っ越さなきゃあーということで、なぜかこのおれが、引越先の候補についての質問・相談等を受けたんです。

ここで詳細を書く気力がないので機会があれば直にお話ししたいと思いますが、あまりにも非現実的な話なのでうまく話すのがとても難しいのです。だからそういうことが話せるムードを前提として接続しない限り無理だと思う。

そのひとは東京からずーっと遠くはなれた土地の人間で、どうやら離婚をきっかにして子供と一緒にほとんど手ブラ状態で上京したらしく、東京についての知識や情報を一切もたないまま超格安物件に飛びついたんだそうだ。

この話、もう数年前のことなんだけど、熱帯夜の涼をとるためにいまようやくその女性が暮らしていたと思われる心霊物件をグーグルで検索してみたらすぐに見つかった。

俺ってよく道を訊かれたりするタイプなんだけど、まさか渋谷のヴェロで本読んでいるときに、アカの他人からかようなる相談まで受けるとは、まったく夢にも思いませんでしたよ。