■
いまだに想起可能な、四半世紀ほど前に視た以下の夢が連想された。
<ゴシック・ドリーム>
何処とも分からぬ屋敷にいる。屋根裏部屋に掛かっている古い木製階段を上る。
修道士が勉強する図書室のような、あるいは、公文書室のような部屋だと分かる。
採光が十分な室内。
壁面に書架が並んでいる。
大きな机に神父が座っている。
が、よく見るとそれは神父ではなく、ノスフェラトゥ(クラウス・キンスキー)ではないか!
机に座って講義を聴いている聖歌隊のような金髪碧眼の修道士たちも、真っ青な顔したヴァンパイアであることが分かる。
通常このようなシーンに出くわすと、追いかけられたり、威嚇されたりと散々な目に遭う悪夢へと発展するのだが、何故かこの度は静謐さに満ちている。
ノスフェラトゥも青年ヴァンパイアも動きがスロー再生なのだ。
殊に、怪しげな聖典を朗読する禿頭吸血鬼神父は動きが停止しているかに見えるほどのスローモード。
それを勿怪の幸いとして退散するオレ。