放送大学で一ノ瀬先生の講座が開かれているのにまだ一度も拝見していないことに気がつき、WEBサイトを調べてみると今春4月からのスタートだった。

でもまあ、また忘れてしまうだろう。ながく見通しの悪い生活が継続すると、衣食住とは直接関わらないものごとへの関心・集中力は衰退する一方なのだ。世の中には衣食足らずとも礼節を失わない立派な方々が居られるというのに真に慙愧に堪えない......と呟いておこう。

情けないことだがこの数ヶ月は新書の類を読み通すのさえ骨が折れる。硬派な書肆の出版物は開くだけで軽い眩暈或いは頭痛を覚えてしまう。じつは漫画でさえ読み通すにはいつもの倍の集中力が必要になっている。絵が目に入らずにネームを追うだけのことも多々あるのだ。強迫神経症的に、数冊の本を広げて各々1ページづつ読みすすめていることもある。もちろん何も頭に残らない。

貧窮生活の中、奥さんと(趣味の)ジオラマ製作に励んでいらっしゃった水木しげる先生は偉大だ。

貧窮生活の中、カントの純理を原典で読了し、奥様がそれを祝って夕餉に精一杯のご馳走を供したという、柳田謙十郎先生の逸話を思い出すとジーンと来てしまう。

オレのような凡愚は浴槽で鼻歌でもして気散ずるのが精一杯なのである。

それでもなんとかしようと(坂口安吾の顰に倣い)語学に没頭せむことを試みたのだが、大事に使用していたはずの電子辞書が壊れているじゃあないか!

まったくのところ弱り目に祟り目である。亞螺亞鬆。