深夜の水道橋近辺を歩いている。

知人の家を夕方前に辞去したはずなのになぜか深夜である。

東京ドームにはタクシーの無料クーポン(新政権のはからい)を配布しているBOXがあるはずなので立ち寄ってみる。

(場面一転して)真っ暗なスタンド出入口近辺。場内は超がつく満員の模様。ほとんどの照明が落とされているなか、何本かのスポットが前方の一点を照らしている。

コンサートでも開かれるのだろうか。それにしては熱気というものを欠いており観衆はひとことも発さず静まりかえっている。コンコースに一人、ここで寝泊りしているらしい瘋癲がいたので事情を聞いてみる。

「なんでもここ2年間にあだしったった仏さんが集まるらしいよ。今晩ようやくあっちに行くんでしょ」

“あだしったった”というのが自ら命のけじめをつけるという意味であることは直ぐに分かった。2年間ということは6万人以上のひとが集まっていることになる。もう一度会場をのぞくと若い頃一緒に仕事をしていたA君が見えた。

「えっ、まさか」と思い、会場に1歩足を踏み入れると、仕組みはよく分からないが別の場所に変わってしまう(生きた人間は入場できないらしい)。しょうがないので大声で「A君!だめだよ、戻ってこい!」と叫ぶ。肩がけバックをさげたA君は十数年前と同じ格好で上着もセーターもすっかり着古しているが面影はまったく変わらない。もう一度叫んだとき(このときなぜかオレは舞台側の高所にいる)、A君がほんの少し微笑んでいることに気づく。

彼の、すべてにふんぎりをつけたかのような微笑をみた瞬間、オレは途轍もない悲しみに襲われいつのまにか嗚咽している
・・・(覚醒)


あまりにも悲しい夢だったが、覚醒後、彼がA君だったのかどうか分からなくなっている(違うひとだったような気もする)。それから、オレは叫んだのではなく心のなかで祈っていただけのような気もする。

夢のパターンとしていつの間にか深夜になっている状況は、ほぼ100%悪夢系である。

[追記]

すみません!
誤解する人がいるかもしれないので言い添えますが、A君は息災だと思います(というか今どうしているのか全く知りません)。
夢にでてきたA君は複合人格的であり、もしかすると、八年前に実は不幸な死に方をしていた元パンクスの(というか、その仲間であった)高校の同級生を重ねているのもかもしれないことに気づきました。