肉食系中年+老年
五月以来でNさんに会う。
Nさんの生活は、仕事、若干の家事(子供たちにご飯をつくる)、ご両親の介護、そして映画(衛星TV)を観る毎日だそうだ。
観た映画は、今年は750作品を超えそうだとのこと。でも本は100冊くらいしか読めなかった、ですと。
午前十一時から午後二十二時過ぎまで、紀伊国屋(待ち合わせ場所)、ヴェロ、BO、中村書店、ABC、メシ、ヴェロというコースにて、喋り続けるか、本を探すかの行動で日が暮れ、一日が終わった。
途中、たいへん有名な棋士とすれちがった。奇しくもそこはNさんが、偶々佇んでいたステファン・グラッペリに「マエストロ!」と呼びかけ握手をしてもらった場所だとのこと。とても感じのよいひとで、ぷくぷくのやわらかい掌だったことを聞かされる。そういう、物怖じしない、というか、躊躇しない姿勢を学びたいと常づね思っているのだが、どうやらそれが仇となることもあるみたいで、オレはこのまま小心者でゐやうと思ふた次第。
話柄は思いつくまま間断なく述べ継がれた。
西東三鬼『神戸/続神戸』を映画化する場合のキャスティングをどうするかで盛り上がった。
Nさんがいま注目しているのは、廿代の江波杏子だそうで、つくづくその美しさを再認識しているとのこと。それじゃあ、橋本多佳子はその当時の江波杏子でいきましょう、と落ち着く。
晩メシは東京トンテキという肉屋でとった。美味しかった。ご馳走様でした。配膳してくれた店員さんの聲が菅野美穂に似ていた。
最後に「今年見た映画リスト」を無理やり渡された(いらないんだけど)。ワープロ専用機で感熱紙にプリントアウトされたそれは、はやくも印字がかすれており、この先一年も保ちそうにない「砂のリスト」である。
いや、しかし、結構疲れたなあ。膝が痛い。
ヴァンゲリスのこのメロディライン、グラッペリ以下の曲っぽいね
忘れてはならぬ指欠損系ギタリストの偉大なるもうひとり