『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』

大手書店で、

内堀弘『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』(ちくま文庫) を見つける。

文庫になっていたのか、いいぞっ、筑摩書房


早速あとがきを読んだ......

「三日間泣き続けていた」「梨の木」」のくだりで一気に目頭が熱くなった。

間違いなく名著だ。本当にすばらしい。

家に帰って、亡父が遺していた『高島高詩集 北方の詩』を手にとってみた。

この詩集がボン書店最後の出版物なのだ(写真は扉)。

本著で触れられていたとおり、専用の郵便為替用紙も挿んであり、裏面には鳥羽茂のマニフェストが刷られている。

出版界の大量生産の傾向が、書籍の内容外觀に與へつゝある害毒は甚大なものです。就中、一般的(ポピュラー)なものにのみ市場を獨占せしめる弊は、特殊研究や文化の前衞(アヴァンギャルド)に致命的な打撃を與へてゐると言はれませう。ボン書店は、このやうな傾向に對して全身的な反抗を企て、文化の健全な展開の上に些少の寄與を期して邁進するものであります。幸に微意を諒とされ御聲援を賜はわらんことを懇望いたします。           ボン書店責任者    鳥 羽    茂


ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)

ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)