新書の類
近頃読んだ新書的なもの。
梅田 望夫/茂木 健一郎『フューチャリスト宣言』(ちくま新書)
「フューチャリスト」といっても、もちろんマリネッティやデペロなんかの未来派とは関係がなく、かといってラビ・バトラ、トフラー、コーニッシュなどとも恐らく違う意味での‘Futurist'である。
読む前は茂木さんが尊敬する椎名誠よろしく「けっ!」という気持ちであったが、中学・高校生あたりが真の読者ターゲットだとすると、このポジティブシンキングには意義があるかもしれない。
茂木さんが云うように、WEBのおかげで世界中の情報、それもアカデミックな論文なんかがフリーでダウンロードできることのとてつもなさを日々体感しているので、彼がその部分に力点を置くのは十分納得できる。
遥か昔の大学生時代、文献収集でどれほど苦労したことか! 「いまのセイガクさんが羨ましい」などと嘆ずるそばから「あなたね、死ぬまで勉強だよ、グローバリゼーションに押しつぶされちゃうよ」と窘められそうで怖いのだが。
梅田望夫/平野啓一郎『ウェブ人間論』(新潮新書)
弱った、何も覚えていない。
西村博之『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』 (扶桑社新書 14)
端的に面白かった。
エラン・カッツ『ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方』(角川書店)
予想以上に面白かった。小説形式。
苫米地英人『洗脳支配』(ビジネス社)
苫米地英人『ドクター苫米地の新・福音書』(講談社)
ダブル・トマベッチー。
『洗脳支配』は絶望の書で、『新・福音書』は希望の書という塩梅になる。
ひょっとして(日本語の意味で)ナイーヴな読者は『洗脳支配』読了後に暗澹たる気持ちになるやもしれぬが、そのばやいは、
ロバート・B・チャルディーニ 、『影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか』、社会行動研究会 (翻訳)、誠信書房
が脱洗脳の役を果たしてくれるかもしれない。今日、本屋さんで翻訳の第二版を見つけた。
仲田紀夫/佐々木ケン『マンガおはなし数学史』(講談社ブルーバックス)
数学をレスペクトしてるんだけれどずっと平均点レベルな中学生・高校生にお勧めかもしれない。数学が生活や社会の必要性から発展している側面と、役に立つかどうか分からないまま発展している側面の両面をおさえているのがいいと思う。「アルゴリズム」の語源が、イスラムの大数学者アル・ファーリズミー(الخوارزمي al-Khwārizmī)に由来することは知っていたが、「代数」(Algebra)は「al-gebr」(=「移項」)が由来であることを初めて知った! てっきりこれもアル・ファーリズミーの名前が由来だと思い込んでいたが、彼の著作名の一部からであった。わーい。得した。しかし、こうやって書いているうちに、通っていた高校の数学教師に「そもそも“基礎解析”の意味ってなんですか?」と質問したところ突然シドロモドロとなり何一つ意味ある説明が返ってこなかったことが思い出されてきた。24年も前の記憶であるが、ムカつくことおびただしい。実にのんびりした時代だったからあんな人間が教師をやってられたのだろうが、やつの代わりにこの一冊があったほうがよっぽどためになったに違いない!(ちょっと故・ヤスケンさんモード)。
ところでこの新書は絵があまりにも素朴すぎではないか。現在の中高生らがターゲットならせめて、
高松 正勝/ 鈴木みそ『マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー』(講談社ブルーバックス)
くらいにはアキバ寄りにする必要があるのではという気もする。が、しかし、中原昌也さんそっくりのキャラが登場するので印象深い「マンガ」となった。
殊に今月号の「文學界」に収められている小説家さんたちとの、あまりにもグロッキーな姿で顕現されている集合写真を見てすぐさま連想したのが「高校二年生 田中洋君」でした。
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マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)
- 作者: 佐々木ケン,仲田紀夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12/20
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マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー (ブルーバックス)
- 作者: 鈴木みそ,高松正勝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/20
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