鄰書ノ外題其ノ二

昨日の帰宅時のジェイアール、吊り革につかまった真向かいに、二十歳くらいの女性が居眠りしていたのだが、膝上本が気になってしょうがない。生憎裏表紙が上を向いている。
レトロモダニズム的な図案がどうしても気になる。一体何か知らんと眼を凝らすと、三一書房であることと、ISBN番号が分かった。

本の傷み具合を鑑みても昭和40年代以前な感じだったのでISBN付番とは意外である。
でまあ、結局その本、村井 康彦著『花と茶の世界 伝統文化史論』だということが分かった。だからなんだといわれても仕様がない。それでけの話。

そして本日は新宿の某大書店の難解本コーナーで、これまた20歳位の女性が、しかも、英米系のドライな棚の前で、本を取り出しては携帯メールを打っているのである。私は彼女が立つ棚に用があったので大陸側から一歩一歩近づく塩梅となったのだけれど、私のことを「キッ」とした顔つきで睨んでくるのだ。いや、睨むというのは誇張があるけれど、まちがいなく警戒+威嚇の表情をみせるのである。一歩近づくと「キッ」。また一歩近づくと「キッ」なのである。

んで三歩目、また「キッ」かよと思いながら目にした本の背表紙がキットラー対話―ルフトブリュッケ広場」 なのであった。ばからしい。

結局何も買わずじまいだったけど、刀水書房の「刀水 No.10 [座談会]タイは今?」があったのでもらってきました。近所の喫茶店で170円のコーヒーを飲みながら読みました。なんだか嬉しい気持ちです。