本屋さん風景

先日、東工大近くの住宅地にある、古本+新刊本屋さんがまだ残っているのを確認した。客なんて一日に数人程度のもんだろうと思うが、とりあえず雑誌類はきちんと仕入れている模様。古書の方は数年前と同じものもチラホラ。店主はTVを観ながらのんびりしている。真ん中の平積み台と壁側の古書棚のレイアウトだって、おそらく数十年間変わっていないかと思われる。「商売気」はほとんど失せている。まちがいない。

それでも、つげ義春のひとコマに出てきそうな、時代から取り残された佇まいはなんだか得がたいものがある。というか、はるか昔の昭和時代をずーっと引きずるって、すんごい贅沢なことじゃないだろうか。

「とにかく古いものはいい」なんてことは決して言いたくないけれど、こと建築物・建造物にかんする限り、新しいものばかりだと気が滅入る。これは偽らざる実感。もちろん、『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』的未来都市には思いっきり魅了されるけれど......。

ゴダールの『勝手にしやがれ』でベルモントが「ドジなもん建てやがって」と呟くシーンがあったけど、裕福層をターゲットにしたマンションや、仕事で成功した人が建てた邸宅が立ち並ぶ中を歩くと、やっぱり、建物風景の新旧ベストミックスってあるんじゃなかろうかなどと思念したりする。まあ、東京じゃあ、どうしようもないのは分かるけどね。